君と最後に話をしたのは、夏の暑い日のこと。それは僕自身、前の年に肝臓の病気で入院してしまい、その後の定期検査を近くの病院で受けた帰りのことだった。
久しぶりに会う君は、ベッドに体を横たえてはいたが、声と目はしっかり前と変わらぬまま。『結構、今の薬がいいみたいだ。』『(退院)今年の終わりかな。』そういった前向きな言葉に、僕は君がきっと治って、また、以前のように病院ではなく街中で会えると確信した。
むしろ、『A肝は風邪みたいなもの。大丈夫。』という、医師らしい言葉に、病後、いまひとつしゃきっとしない体に不安を覚えていた僕を逆に励ましてさえくれた。
しかし、それから一ヶ月ばかりたっての急な天の宣告。辛さをひとことも口にせずに、むしろ僕を励ましてさえくれた君は逝ってしまった。あんなに普通に話せたのに、最後まで気を遣いやがって。無性に涙が溢れた。
高校の時も、練習でいつも励ましてくれた君。君はひょっとして、『励ましではなく当たり前のことを言っただけさ。』と言うかもしれないが、僕にとってはとてもありがたかった。
あの夏の日の君の言葉は、これからの僕の人生にむけての永遠の励ましと受け取らせてもらおう。辛いことがあっても、あの日の言葉を、君の声を聞きながら、歩んでいきたいと思う。
『補足』
十年ほど前に書いた、その三年前に亡くなった、高校時代の友人の追悼文集に寄せた文章です。防衛医大に進んだ医者でした。
いまだに、何故、『…君の声を聞きながら…』と書いたのか? 何故、『…思い出しながら…』としなかったのか?
彼の死を認めていなかっただけではなかったのだろうか?
最近、やっと訳がわかった気がします。
久しぶりに会う君は、ベッドに体を横たえてはいたが、声と目はしっかり前と変わらぬまま。『結構、今の薬がいいみたいだ。』『(退院)今年の終わりかな。』そういった前向きな言葉に、僕は君がきっと治って、また、以前のように病院ではなく街中で会えると確信した。
むしろ、『A肝は風邪みたいなもの。大丈夫。』という、医師らしい言葉に、病後、いまひとつしゃきっとしない体に不安を覚えていた僕を逆に励ましてさえくれた。
しかし、それから一ヶ月ばかりたっての急な天の宣告。辛さをひとことも口にせずに、むしろ僕を励ましてさえくれた君は逝ってしまった。あんなに普通に話せたのに、最後まで気を遣いやがって。無性に涙が溢れた。
高校の時も、練習でいつも励ましてくれた君。君はひょっとして、『励ましではなく当たり前のことを言っただけさ。』と言うかもしれないが、僕にとってはとてもありがたかった。
あの夏の日の君の言葉は、これからの僕の人生にむけての永遠の励ましと受け取らせてもらおう。辛いことがあっても、あの日の言葉を、君の声を聞きながら、歩んでいきたいと思う。
『補足』
十年ほど前に書いた、その三年前に亡くなった、高校時代の友人の追悼文集に寄せた文章です。防衛医大に進んだ医者でした。
いまだに、何故、『…君の声を聞きながら…』と書いたのか? 何故、『…思い出しながら…』としなかったのか?
彼の死を認めていなかっただけではなかったのだろうか?
最近、やっと訳がわかった気がします。